『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック

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数Ⅲ方式ガロアの理論(その22)

 現在2019年12月5日20時40分である。

麻友「ちょっと、もう、薬の時間じゃない」

私「父の本のリストを入れていると、300冊に1冊くらい、私も読んでみたいな、という本がある」

結弦「今回は、どんな?」

私「この3冊の本

藤沢健太『見える〈時間〉』(ミネルヴァ書房


藤沢健太『飛びこえる〈時間〉』(ミネルヴァ書房


藤沢健太『感じる〈時間〉』(ミネルヴァ書房


若菜「私、分かった。お父さん、第2巻の、『タイムマシンのつくり方』っていうの、読みたかったんでしょう」

私「ばれたか」

麻友「一般相対性理論も分かってて、時間のオーソリティの太郎さんが、こんな子供だましに引っ掛かるなんて」

私「でもね、表紙に、『タイムマシンのつくり方』って堂々と書いてある本って、ちょっと、覗いてみたくなるじゃない」

若菜「紙の本は、買わない約束ですが」

私「もちろん、図書館で、取り寄せてもらったんだ。横浜市の図書館、誰も借りてなければ、2日でくる」

結弦「すごい、連係プレー」

若菜「それで、つくり方というのは?」

私「結論を言うと、いわゆるタイムマシンは、つくれないという段階のままなんだよ」

結弦「やっぱりそうか」

麻友「太郎さん。鶴見図書館で借りてその足で、ソファーへ行って、肝心なところを、ピンポイントで読んだんでしょう?」

私「私という人間は、そういう人間だ」

麻友「でも、駄目だと分かっても、借りてくるのよね?」

私「未来の奥方様は、良く分かっている」


結弦「その、図書館で借りてきたのは、11月30日なんでしょ。ここで、話題にしたのは?」

私「第3巻が、感じる〈時間〉でしょ、この中で、ひとつ、前から疑問だったことが、氷解したんだ」

若菜「わぁ、お父さん転んでもただでは起きない。どんなことですか?」

私「つまらない授業とか、退屈な仕事って、実際よりも、長く感じるだろう?」

結弦「それは、当たり前だよ」

私「一方、大好きな恋人といるときとか、面白い映画だと、長い時間が経っているのに、あっという間に思えるよね」

若菜「はい」

私「お前たちはまだ若いから、そういう経験はないだろうけど、麻友さん。麻友さんは、小学校の頃や、中学校の頃に比べて、1年が経つのが、速くなり、『えー、あれから、もう3年?』というようなことを、感じることが多いと思う。私は、決して面白いことばかりがあって、どんどんときが過ぎたのではないはずなのに、どうして年取ると、1年が早く感じるか、ずっと知りたかった」

麻友「私、25歳ですけど、太郎さんの言うように、確かに年々、月日が経つのが、早くなっています。どうしてなのかしら?」

私「その答えが、書いてあったんだよ」

麻友「えっ、そのものずばりが?」

私「こういうことなんだよ。人間は、脳に記憶をするとき、のんべんだらりと、記憶しているんじゃないんだ。新しい、今までの記憶にないものが入ってきたとき、記憶するんだ」

麻友「それで?」

私「子供の頃は、スポンジが水を吸収するように、どんどん記憶しているから、たくさんの時間が経ったように、後で思い返したとき感じるんだ。ところが、麻友さんなら25歳、私なら48歳だから、今までに大量の記憶がある。そうなると、普通の人が感激するミュージカルでも、『ああ、これ3回観たな』というようなことがあって、脳に新しい記憶として入ってこない。脳は、入ってきた新しい記憶の量で、どれだけの時間が経ったかを、感じているようなんだ。と、あの3巻に書いてあったんだ」

若菜「すごい。本当に転んでもただでは起きないだ」

麻友「太郎さんが、障害を負ってなければ、・・・。でも、太郎さんは、一人の女の子の心に、『世界の麻友』という灯火をくれた」

結弦「ところで、ガロアは?」


麻友「少し進めておきましょう。本文p.11 l.4 からね。



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 この外の関数の導関数{x=a} の時だけ無限大となり,残りの項は対数的な量 {\log P}{P} は代数的な量)だけとなる──と仮定できる.この関数を {\Pi (x,a)} で表わすと,次の定理がえられる

{\Pi(x,a)-\Pi(a,x)=\sum \varphi a \psi x,}

{\varphi a}{\psi x} とは,第一種と第二種の関数.


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麻友「何言ってるか、分からない。でも、ときどきちょっと進めるのは、いいかもね」

結弦「でも、ガロア理論って、すっごく解説書が多い理論なんでしょ。それだけ、苦労した人が、いるってことだよね」

若菜「お父さんの不屈の精神に、期待しましょ」

私「じゃあ、解散」



私「麻友さん。『3年後までこれがあったら、ケーキを買ってあげるから、一緒にクリスマスを祝おう』のワンダエクストラショット、4年後には、もう在庫切れになってしまった。麻友さん、もうそんな月日が経ったんだよ。麻友さんの安全を確保した上で、会えないかな?」

麻友「4年半。考えてみるわ」

私「おやすみ」

麻友「おやすみ」

 現在2019年12月5日22時29分である。おしまい。