『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック

矢ヶ部巌『数Ⅲ方式ガロアの理論』(現代数学社)のガイドブックを作ることを目指します。ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。

数Ⅲ方式ガロアの理論(その31)

 現在2020年8月16日14時20分である。

麻友「ガロアは、久しぶりね」

私「キラキラや、数学の専攻とか、問題とか、相対論のブログで、やってたからね」

若菜「3次方程式に、アタックしたところで、止まってました」

結弦「僕が、イジワルな質問を、したんだよな」


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 これでも,初めの計画に狂いはない.

小川 初めの方程式と同値だからですね.


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結弦「ちょっと、待って。『方程式が同値』って、どういうこと?」

麻友「イヤミねー。一番突いて欲しくなかったところを、突いてきたわね。太郎さんのNKのノートに、同値という記号 {\Longleftrightarrow} も、見つけたけど、『方程式が同値』というのが、どういうことなのか、分からないのよ。どうすればいいの?」

若菜「真か、偽かが、同じになるって、ことですよね。両方の方程式で」

麻友「真か偽か? じゃあ、答えが同じってこと?」

私「さすが特待生。燕返しだな。そういうことだよ。ここでは、両方の方程式の根が同じという意味だよ」


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(『数Ⅲ方式ガロアの理論(その30)』より)


麻友「そうなのよ。同値という、言葉の意味が分からなかった」

私「あのとき、麻友さんが、言ったように、両方の方程式の根が、同じ、という意味で、いいんだ」

麻友「でも、根がいくつも、あったら?」

私「一方の方程式の根が、すべて、もう一方の根になっている、という、意味だ」

麻友「でも、そんなの辞書にも、書いてない」

私「だから、ゼミをやる意味がある。そういう暗黙の了解を、繰り返し議論を重ねながら、共有していくんだ」

若菜「お母さんの、燕返しといい、お父さんの返答といい、あたかもここで、本当に、ゼミをやっているみたいです」



 昨日、マックで、ここまで書いた。スマホでは、プレビューが、見られないので、ここで、断念した。

 さて、今日(2020年8月17日)になって、続きを、始める。


 現在2020年8月17日5時15分である。

麻友「少し、復習した方が、良さそうね。テキストp.19の、最初から。


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  完全立方式への変形


小川 {a,b,c,d} が実数のとき,3次方程式

{ax^3+bx^2+cx+d=0~~(a \neq 0)}

{(x}の整式{)^3=}定数

という方程式に変形するのですね.

広田 そうだ.計算を見通しよくするために,{x^3} の係数を簡単にしておくのがよい.両辺を {a} で割った

{\displaystyle x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a}=0}

という方程式を変形しよう.

 これでも,初めの計画に狂いはない.

小川 初めの方程式と同値だからですね.


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麻友「ここからね」

私「計算を見通しよくするために、{x^3} の係数、{a} で、割ったことを、記憶の片隅に、留めておいて」

若菜「どうなるんですか?」

私「テキストp.56,p.96,p.146 で、ここで、なぜこんなことをしたか、分かってくる」

結弦「伏線が張ってあるということ?」

私「そうだ」

麻友「始めるわよ」


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佐々木 問題の整式は {x}{1} 次式しかないよ.{2} 次以上だと,その {3} 乗は {6} 次以上だから.

小川 それで,{A,B} を実数として

{(Ax+B)^3=}定数

という形を目的にします.

{(Ax+B)^3=A^3x^3+3A^2Bx^2+3AB^2x+B^3}

{\displaystyle x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a}}

との差が定数となるには,{x} を含む項が消えないといけませんね.


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結弦「ストップ。なぜ、

{(Ax+B)^3=A^3x^3+3A^2Bx^2+3AB^2x+B^3}

と、

{\displaystyle x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a}}

との差を、考えなければ、いけないの?」

麻友「分からないのよ。これ」

若菜「ちょっと、ギャップがありますね。お父さん、どうすれば、いいのですか?」

私「1999年12月25日に、読んだときは、分からなかった。その後、2009年5月30日にも、読んだが、分からなかった。そして、麻友さんと会った後、2016年9月20日に、やっと分かった。今、麻友さんが分からなくても、恥ずかしくはない」

結弦「それで、どうしてなの?」

私「今、

{\displaystyle x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a}}

という式を、

{(Ax+B)^3=}定数

という形に、変形したいのだろう。この式は、展開すると、

{(Ax+B)^3=A^3x^3+3A^2Bx^2+3AB^2x+B^3}

だ。だから、

{A^3x^3+3A^2Bx^2+3AB^2x+B^3}

と、

{\displaystyle x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a}}

とで、

{\displaystyle A^3=1,~~3A^2B=\frac{b}{a},~~3AB^2=\frac{c}{a}}

が、成り立つということだ。定数は、ずれていても、右辺へ持って行ってしまうから、問題ない。結局、

{(Ax+B)^3=}定数

という形にするためには、

{\displaystyle x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a}-(Ax+B)^3}

{\displaystyle =\biggl(1-A^3 \biggr)x^3+\biggl(\frac{b}{a}-3A^2B \biggr)x^2+\biggl(\frac{c}{a}-3AB^2 \biggr)x+\biggl(\frac{d}{a}-B^3 \biggr)}

で、{x} を含む項が、消えればよくて、

{\displaystyle A^3=1,~~3A^2B=\frac{b}{a},~~3AB^2=\frac{c}{a}}

となればいいのだろう。『差が定数』とは、このことだ」

結弦「お父さんが分かるまで、17年かかったなんて、とんでもない本だな」

私「だから、ガイドブック作ってる」

若菜「納得です」


麻友「じゃあ、続き、始めるわよ」



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佐々木 {x^3} の係数を比べて

{A^3=1,}

{A} は実数だから,{A=1} ときまる.

小川 {x^2} の係数を比べると

{\displaystyle \frac{b}{a}=3A^2B=3B}

から,{\displaystyle B=\frac{b}{3a}} ときまります.

 ですから,問題の整式は

{\displaystyle x+\frac{b}{3a}}

しかありませんね.

佐々木 でも、

{\displaystyle \biggl(x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a} \biggr)-\biggl(x+\frac{b}{3a} \biggr)^3}

{\displaystyle =\biggl(x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a} \biggr)-\biggl(x^3+\frac{b}{a} x^2 +\frac{b^2}{3a^2} x+\frac{b^3}{27a^3} \biggr)}

{\displaystyle =\frac{3ac-b^2}{3a^2}x+\frac{27a^2d-b^3}{27a^3}}

となって,{3ac-b^2=0} という場合の外は,一般には定数にはならないよ.


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若菜「待って下さい。お母さん、本当に、その計算、したのですか?」

麻友「えへへ、真面目に、1から計算したわけでは、ないけど、テキストの式を、検算はしたわよ」

若菜「どういう風に?」

麻友「

{\displaystyle x^3+\frac{b}{a}x^2}

は、同じだから、いいわよね。

{\displaystyle \frac{c}{a}x-\frac{b^2}{3a^2} x}

は、通分するために、第1項の分子分母に、{3a} をかけて、

{\displaystyle \frac{3ac}{3a^2}x-\frac{b^2}{3a^2} x}

だから、引き算して、

{\displaystyle \frac{3ac-b^2}{3a^2}x}

となるから、検算できた」

結弦「そうすると、

{\displaystyle \frac{d}{a}-\frac{b^3}{27a^3}}

も、通分して、

{\displaystyle \frac{27a^2d}{27a^3}-\frac{b^3}{27a^3}}

引き算して、

{\displaystyle \frac{27a^2d-b^3}{27a^3}}

と、求めたわけか」

麻友「はっきり言って、これは、しんどい」

私「実は、高校時代は、私も、こんな1つ1つの計算は、やらなかった。研究ノートなんて、作ってなかったからね」

若菜「じゃあ、お父さんも、テキストを、信じてたの?」

私「本に誤植というものがある、というのを知ったのは、大学に入ってからだ」

麻友「計算を追ってなくても、第18章のルフィニの証明まで、高校2年で分かったって、どうしてなの?」

私「高校2年の頃、私は、どこへ行くのでも、この本を、持って行っていた。当時は、買ったときに被せてくれた、丸善の紙のカバーを被せたまま、広島の市内電車に乗っているときも、JRの山陽線(広島の人は、汽車という)で、広島駅へ向かうときも、芸備線で、三次の父に会いに行くときも、いっつも、読んでいた。だから、ほとんど暗記していたような、ものだったのだ。それで、ルフィニの証明の、イメージが、つかめたのだ」

結弦「でも、アーベルの証明は、理解していない」

私「アーベルの証明は、ルフィニのやり残した、非常にやっかいな計算を、やり遂げなくては、ならない。高校2年のときは、無理だった」

麻友「今日は、これで、お開きにしない? 私、疲れたわ」

私「じゃあ、解散」

 現在2020年8月17日12時35分である。おしまい。

数Ⅲ方式ガロアの理論(その30)

 現在2020年7月10日16時01分である。

麻友「どうして、マックへ、勉強道具持って行ったのに、帰って来ちゃったの?」

私「マック、店内で食事させないためか、冷房効かせすぎなんだ」

若菜「上に羽織るもの、3枚も持って行ってなかったですか?」

私「今年、母が買ってくれた、ジャケット、以前から持っているジャケット、それに、セーターも、持っていったのに、寒くて逃げ出さずにはいられなかった」

結弦「それは、酷いなあ。お客さんいなかったでしょう」

私「うん。4,5人しかいなかった」

麻友「家に帰ってくると、勉強するものも、変わるのね。3日連続で、ガロアに、取り組む?」

私「その前に、帰ってきてから調べた成果がある」

結弦「えっ、何?」

私「3年前に調べたときは、なかったけど、ブリング/ジラードの標準形、計算したのを、公開している人がいる。以下のページだ」

5次方程式の解の公式をガチで求めようneqmath.blogspot.com

若菜「この人、手計算ですかね?」

私「それは、有り得ない。数式処理ソフトを、使ってるはずだ」

結弦「僕たちは、登場してないけど、お父さんが、数Ⅲ方式ガロアの理論の連載を始めたのは、『女の人のところへ来たドラえもん』の2017年9月21日だ。一方、この計算した人の記事は、2018年8月15日。お父さんが言ってることも、一応筋が通っている」

若菜「じゃあ、Mathematica は、いらない?」

私「そんなことは、ない。このねくノートというブログを書いている、きいねくさんが、計算間違いしてないかどうか、確かめる必要がある。それに、Mathematica は、色んな場面で、使えるとありがたいソフトなんだ」

麻友「太郎さんは、どこまでなら、手計算でやるの?」

私「よっぽどのことがない限り、手計算で、計算するよ。でも、計算して、項が50個を超えたりしたら、計算間違いする可能性の方が、コンピューターが間違う可能性を、上回るから、コンピューターを信じて、計算を任せる」

若菜「その50項の計算をできる計算力は、お父さんのお父様の、『たのしい算数』のお陰ですか?」

私「そうだね。『たのしい算数』は、『数学は、計算力がすべてだから、計算力を付けさせる』という父から、生まれたものだからね。そして、公文」

麻友「その、公文なんだけどね、ある情報によると、太郎さんが、最後までやってないということなんだけど、弁明できる?」

私「ああ、京都から、中退して帰ってきたとき、最後のTの教材が、ビニールに入って、手付かずのままだったのを、父がもらい受けた話だろう」

麻友「やっぱり、最後まで、やってないの?」

私「それは、こういうことだったんだ。広島に行くとき、公文の馬場先生から、確か、Jから後ずっと、Tまでの、教材と解答をもらった。だが、数学の研究(要するに5次方程式とか、集合論とか、微積分)に、取り組んでいた私は、毎日公文と取り組むなんてことは、しなかった。そして、教材を見ていって、新しい記号が出て来るところを中心に、取り組んだ。それでも、偏微分の記号 {\partial} の交換とか、重積分とか、常微分方程式の一般解とか、色々学んだよ」

結弦「えっ、それ、大学レヴェルじゃない?」

私「そうだよ。公文では、大学レヴェルのこと教えるんだ」

若菜「大学入試で、必要ないでしょ」

私「ところが、どっこい。京都大学東京大学は、大学で教える内容から、問題を出してくる」

麻友「そんなの、卑怯じゃない?」

私「センター試験レヴェルの数学の問題で、理学部に入る学生を、選別できるわけないだろう」

若菜「じゃあ、どんな問題が出て来るんですか?」

私「私が、受けたときは、行列式とか、テイラー展開とか、平気で出てきた」

麻友「そういう入試には、どうやったら対策立てられるの?」

私「数学以外は、Z会(ぜっとかい)の添削だね。それから、数学は、『大学への数学』という雑誌の添削を、受ける。もう、7月になってるけど、もしこれを読んでいるのが、受験生なら、明日にでも本屋に行って、『大学への数学(7月号)』を買ってきて、挑戦しよう。最初は、歯が立たないだろうが、段々解けるようになる。私が、浪人生のとき、なかなか100点取れなかったが、あの川口周君は、いつも100点だった。現役なのに、、、と思っていたら、図書館にあったバックナンバーで、川口周君は、高校2年のときから、添削を受けていて、その頃は、100点ではなかったことが、分かった。少し安心した。このときから、大学に入ったら、川口周君に会いたいと思ったのだった」

雑誌『大学への数学(7月号)』(東京出版)

大学への数学 2020年 07 月号 [雑誌]

大学への数学 2020年 07 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: 雑誌


麻友「ああ、そういうことだったのね。川口周さん、ちゃんと、数学者になった」

私「比較的最近、この本も出版していることが分かった」

森脇淳(もりわき あつし)/川口周(かわぐち しゅう)/生駒英晃(いこま ひであき)『モーデル-ファルティングスの定理』(サイエンス社


若菜「お父さんの本は、ないですね」

結弦「この『『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック』が、完成したら、電子書籍にでもなるんでしょう」

麻友「それで、公文はJから始めて、どこまでやったの?」

私「大学の力学の範囲だけど、慣性モーメントとか、座標変換とか、やって、RとSに、マクスウェルの電磁気学が、あるんだ。そこまでは、やった。解答と見比べながら。そこまでやって、高校3年で、最後のTを、開こうとしたら、最初が、イプシロン・デルタだったんだよね。イプシロン・デルタは、高校2年で、

田島一郎『イプシロン-デルタ』(共立ワンポイント双書)

イプシロン-デルタ (数学ワンポイント双書 20)

イプシロン-デルタ (数学ワンポイント双書 20)


を、読んであり、ここから先は、完全に大学生向けだな、と思って、暇なときやろうと思って、結局暇なんてなくて、中退するまで、開かずじまいだった。というわけだよ」

麻友「ああ、だから、太郎さんが、大学の数学への準備ができてなかった、なんていうことは、まったくなかったわけね」

私「うん。それに、公文では、集合論連続体仮説なんて、出てこないだろうし、、、と思って、今公文のホームページ見たら、『R~Vというのを、大学教養課程相当の研究コースとして作りました』と、書いてある。需要があるんだねえ」


麻友「これで、噂の真相は、分かったけど、太郎さんは、あまり公文やらなかったというのは、半分は本当ね」

私「実は、妹が、若菜と結弦、つまり姪と甥に、いい加減なことを、吹き込んでいて、困ったこともあった」

麻友「どういうふうに?」

私「若菜が、数学の問題を、解いてて、『これ、分からない』、と、持って来たんだ。私は、その問題の条件が、解けるように揃っていないのに気付いた。だから、『角Aって、どこ?』と、若菜に聞いた。若菜は、『ここ』と、言ったが、そことは、限らなかった。私は、『これ、問題自体が、間違っているんだよ。それを、指摘させたいんだ』と言ったら、若菜が、『これで、大学院?』と、妹に聞いたのだ。後で分かったが、妹の家では、『たろちゃん、というのは、大学院の数学科に行ってたんだ』みたいに、吹き込まれていたらしい。ただまあ、普通の人の分かる数学レヴェルでは、数学科の学部卒でも、博士課程出てても、ほとんど違いは、分からないだろうな」

麻友「今は、若菜も結弦も、分かってるのね」

私「このブログ、読んでるくらい、だからね」

若菜「じゃあ、ガロア、始めましょう」


麻友「テキスト18ページ、下から8行目からだけど、下から10行目から、始めるわよ」



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広田 感心,感心.入学試験に出したら,結果はサンザンだった──という話を聞いた事がある.さすが,現役だけの事はある.

 ところで,この解き方で使ったアイデアは何だ.

佐々木 方程式の両辺に適当な定数を加えて,左辺を完全平方式に変形して

  完全平方式 = 定数

という形の方程式を作る事だよ.

小川 一番簡単な2次方程式

  {X^2=}定数

に帰着させる事ですね.

広田 このアイデアを3次方程式に応用してみよう.



  完全立方式への変形


小川 {a,b,c,d} が実数のとき,3次方程式

{ax^3+bx^2+cx+d=0~~(a \neq 0)}

{(x}の整式{)^3=}定数

という方程式に変形するのですね.

広田 そうだ.計算を見通しよくするために,{x^3} の係数を簡単にしておくのがよい.両辺を {a} で割った

{\displaystyle x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a}=0}

という方程式を変形しよう.

 これでも,初めの計画に狂いはない.

小川 初めの方程式と同値だからですね.


*******************************


結弦「ちょっと、待って。『方程式が同値』って、どういうこと?」

麻友「イヤミねー。一番突いて欲しくなかったところを、突いてきたわね。太郎さんのNKのノートに、同値という記号 {\Longleftrightarrow} も、見つけたけど、『方程式が同値』というのが、どういうことなのか、分からないのよ。どうすればいいの?」

若菜「真か、偽かが、同じになるって、ことですよね。両方の方程式で」

麻友「真か偽か? じゃあ、答えが同じってこと?」

私「さすが特待生。燕返しだな。そういうことだよ。ここでは、両方の方程式の根が同じという意味だよ」

結弦「 {a} で割っても、答えが求まって、因数分解できてみれば、

{a(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)=0}

の答え、{\alpha,\beta,\gamma} は、

{(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)=0}

の答えと、同じだもんな」

麻友「でも、今は、答えが求まらないかも、という話をしてるのよ」

私「それは、今の麻友さんには、無理だな。どんな場合でも、代数方程式は、解が存在し、因数分解できるというのは、数学の王様、ガウスが、1799年に、学位論文で証明した、代数学の基本定理だ。この証明をしてあったので、後にアーベルが、1824年に、5次方程式が解けないという、パンフレットを送ったのに、ガウスは、『よくもこんなものが書けたものだ,恐ろしいことだ』と、相手にしなかった。アーベルが、ヨーロッパ中周りながら、ゲッチンゲンのガウスにとうとう会わなかったのは、これが原因とも言われている」

麻友「えっ、5次方程式って、結局解けるの? 解けないの?」

私「どういう方法を使ったら、解けるのか? という方法によるんだよ。19世紀初頭の数学者は、5次方程式も、足し算引き算掛け算割り算累乗根で、解けると思っていた。それを、もっと別な方法を使わなければ、解けないと、アーベルは、指摘したんだ。だが、どっちにせよ、答えがあること自体は、ガウスの言っているように、正しい。だから、因数分解できる」

麻友「その、代数学の基本定理って、難しいの?」

私「理学部の1回生レヴェルだよ。杉浦さんの『解析入門Ⅰ』の188ページから190ページに証明がある。ところで、私に取っては、因縁の定理でもある。数学築き直しの大芝猛さんの『数学基礎概説』は、まったくの無から、代数学の基本定理を証明するのが、目標だったんだ」


大芝猛『数学基礎概説』(共立出版

数学基礎概説 (共立数学講座)

数学基礎概説 (共立数学講座)

  • 作者:猛, 大芝
  • 発売日: 1987/10/20
  • メディア: 単行本


麻友「答えがあって、因数分解できるなら、結弦の言ってることも、分かるわね」

私「こういう風に、自分の数学をやっていると、至近距離にも、大冒険への入り口がある。もっと、楽しんで」

麻友「太郎さん、この本のこの部分を復習したのは、何年? ノート見せて」

麻友「あれっ、2冊あるのね」

私「京都から中退してきて、まだ精神分裂病という病名を聞く前から、ガロアの復習に、手を付けている。ほとんど計算だけ書いてあるノートが1冊。その後、やっぱり全文写ししなきゃ、分からないと、1999年1月30日に始めたノートが、今でも続いている。今日のところは、1999年12月25日に、進めたところだ」

若菜「今でも、全文写ししなきゃ、分からないんですか?」

私「全文写しした方が、頭が働くんだ。こういう難しい本の場合」

結弦「今のお父さんにも、難しいの?」

私「何カ所か、4人で、潰そうと思っている、敵陣がある」

麻友「また、すぐ戦争。でも、大統領とかって、戦争しているときの方が、支持を集めるのよね。許せないけど」

若菜「日本ほど、徹底的に、平和教育をする国って、珍しいそうですね」

私「それを、2042年から来た、AIのお前が言って、どうする」

若菜「2020年の日本に、合わせちゃいました」

結弦「未来は、変わったんだよ。本当に。でも、2020年の人たちに、結果だけ教えても、信じないでしょ」

麻友「未来は、見てきたから、知ってる。でも、あれを、私達で、築かなきゃならないのよ。とりあえず、今日は、ここまでに、しましょ」

私「じゃあ、解散」

 現在2020年7月10日21時15分である。おしまい。

数Ⅲ方式ガロアの理論(その29)

 現在2020年7月9日18時04分である。

麻友「太郎さん。昨日、最後の方、眠かったんじゃない?」

私「ばれた?」

麻友「『女の人のところへ来たドラえもん』のブログの『整数環』という投稿で、


3次方程式 一般解の理解 1987.9.18

     教職数学 代数 が引き金


とあるのに、昨日、


高校1年生の私は、色んな本を見て、遂にカルダノの解法にたどり着く。『代数学辞典 上』問題番号3159 1987年12月29日に制覇したとメモがある


と言ってる」

私「自分でもね、3次方程式が12月だったら、4次方程式はいつだったのかな? と、疑問は、あったんだ。ただ、『代数学辞典 上』に、確かに日付はあるし」

結弦「じゃあ、どっちか、不明?」

私「朝起きたとき、気付いたんだ。『代数学辞典 上』は、サンタさんのプレゼントだったとね」

若菜「あっ、そうか。『教職数学 代数』で、9月に分かったっていうのは、本当で、その後、クリスマスにサンタさんが、『代数学辞典 上』を、持って来てくれて、12月29日に、お父さんが、カルダノの解法を、改めてチェックしたということなんだ」

麻友「だとすると、


4次方程式 フェラリの解法の理解    1987.11.27


というのも、本当なのね」

私「歴史家が、『こういう記述があるから、この科学者は、これを、このときには、発見していただろう』、などと推測するけど、自分のことですら、間違えるんだから、科学史なんて、当てにならないね」


私「あっ、ごめん。麻友さん。大丈夫?」

麻友「えっ、どうしたの?」

私「さっき、母の所へ、生活費をもらいに行ったとき、冷凍のチャーハンを、もらったんだ。マックで、数学やって、そのとき使ったペンケースがリュックに入ってたけど、短い時間だから大丈夫だろうと、ペンケースの上に、チャーハンを乗せていた。家に帰って『発見・新たに知った事』のノートをつき合わせてブログ書き始めて、忘れてたんだ」

結弦「じゃあ、びしょびしょ?」

若菜「水も滴るいい女ですか」

私「確かに、新しいのもあるかもしれないけど、きちんとした作りになってる。糸もほつれてないし、写真も剥げてきたりしてない」

麻友「私が、一針一針、千人針のように、心を込めて縫ったんだから、冷凍チャーハンくらいでは、びくともしないわよ」

私「大事にするからね」


麻友「じゃあ、ガロア、始めるわよ」

私「分かった」

麻友「テキスト17ページ下から7行目からだけど、下から8行目から始めるわよ。


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佐々木 ぼく,オッチョコチョイな奴.

小川 根の公式は,どうなるのですか.

広田 どうなるかな──それを考えてもらう.

佐々木 考えろって.どういう風に.

広田 経験を生かせ.

佐々木 因数分解する方法しか経験してない.でも,それは通用しないよ.

広田 新しい問題に直面したら似た問題を思い出す.あるだろう.

小川 2次方程式の解法ですか.



  2次方程式解法の反省


広田 2次方程式の根の公式は,どうやって見つけたか──反省しよう.


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結弦「あっ、ストップ」

私「気付いたな」

若菜「あっ、これですね。

『25回くらい、『反省しよう』『戻って考えよう』『これは、出て来たな』などと、どこまで戻って良いのか困る場面が、ある』

とお父さんが言ってたの。記念すべき1回目ですね」

麻友「ここが、1回目だったのね。ノーマークだったわ。続けるわよ」


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佐々木 {a,b,c} が実数のとき,2次方程式

{a x^2+b x +c=0~~(a \neq 0)}

の根の公式だね.

 定数項を右辺に移項すると

{a x^2+b x =-c,}

両辺に {4a} を掛けると

{4a^2 x^2+4ab x =-4ac,}

両辺に {b^2} を加えて,左辺を変形すると

{(2ax+b)^2=b^2-4ac,}


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若菜「その式変形、許されるのですか?」

私「文系の高校卒の麻友さんが、分からない、式変形は、しないのだったな。麻友さん。補ってごらん」


{4a^2 x^2+4ab x =-4ac,}

 両辺に {b^2} を加えて

{4a^2 x^2+4ab x +b^2=b^2-4ac,}

 ここで、先を見越して、展開して左辺になるものを、見つけるの。

{(2ax+b)^2=4a^2 x^2+4ab x +b^2}

 上の式の左辺になってるわね。だから、

{(2a x+b)^2=b^2-4ac,}

となる。太郎さんが、全部計算しろというから、大変なのよ。



私「良く予習してきたね。もうちょっとで、今日は、許してあげよう。

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{(2a x+b)^2=b^2-4ac,}

だから

{2a x+b=\pm \sqrt{b^2-4ac},}

これから

{\displaystyle x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}.}

広田 感心,感心.入学試験に出したら,結果はサンザンだった──という話を聞いた事がある.さすが,現役だけの事はある.


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私「今日は、ここまでに、しよう。頑張ったね」

麻友「って、いうか、学校で習ったのと、式変形が違う」

私「そうだね。学校では最初に、{a} で、両辺を割るだろう。

{\displaystyle x^2+\frac{b}{a} x =-\frac{c}{a}}

そして、左辺を、平方完成する。『平方完成』って言葉、覚えてる?」

{\displaystyle x^2+\frac{b}{a} x +\frac{b^2}{4a^2}=\frac{b^2}{4a^2}-\frac{c}{a}}

麻友「完全に飛んでるわ。太郎さんは、どうなの?」

私「辛うじて、使える程度。それで、両辺、変形して、

{\displaystyle \biggl(x+\frac{b}{2a}\biggr)^2=\frac{b^2}{4a^2}-\frac{4ac}{4a^2}}

更に、右辺を変形、

{\displaystyle \biggl(x+\frac{b}{2a}\biggr)^2=\frac{b^2-4ac}{(2a)^2}}

両辺の平方根を、考えて、

{\displaystyle x+\frac{b}{2a}=\pm\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}}

最後に、定数を移して、

{\displaystyle x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}}

としたんじゃないかな?」

麻友「それに、近かった。もう今では、完全には覚えてない。とにかく、この本は、まだちょっとしか読んでないけど、こんな違いに拘ってたら、やって行かれないくらい、難しいということが、分かってきたわ」

私「数学を好きになるための本であるだけでなく、数学に強くなるための本だからね」

結弦「2次方程式の解法は、何パターンもあるよ。僕も、いくつか知ってる」

若菜「お父さん、この本を、どのくらいのペースで、読んでいたんですか?」

私「今日、『発見・新たに知った事』のノートを見ていて、


・5次方程式の研究─やっと方針がわかった。2回目半ばなのに─1988.6.10

・5次方程式の研究─ルフィニの証明をほぼ理解─1988.6.25

・5次方程式の研究─2回目終了、いよいよつめにはいる─1988.6.27

と、3カ月くらいで、2回読んでいる。だが、全部の計算はしていない」

結弦「どうして?」

私「この本に書いてあることを、真面目に全部計算しようと思うと、一生かかってしまうという部分があるんだ」

麻友「えっ、そんな話、聞いてなかったわよ。どういうこと?」

私「実際、この本の第8章にある、ブリング/ジラードの標準形というものは、ブリングという人が、半生をかけて計算した式で1786年に発表、ところが、48年後、1834年に、それを知らなかったジラードという人が、苦心の計算で発表。どちらもに敬意を表して、ブリング/ジラードの標準形と、呼ばれるようになった」

結弦「僕たち、そんな討ち死には嫌だな」

若菜「ダ・カ・ラ・! 安倍首相も、ひとつだけ良いことしたって」

結弦「あっ、そうか!」

麻友「10万円の、給付金ね」

結弦「でも、ウルフラムアルファじゃ、駄目だったの?」

麻友「それを、試さない太郎さんじゃないわよ。ねっ」

私「一番易しい形まで持っていって、ウルフラムアルファに、かけたけど、時間内に計算できませんと、突っぱねられた」

若菜「恐ろしい~」

結弦「Mathematica って、ぶっちゃけいくらなの?」

私「45,000円+税だから、今だと、49,500円なんだ」

麻友「2017年は、電子辞書。2018年は、ヒューレットパッカードのパソコン。2019年は、スマホ。そして、今年は、Mathematica なのよね。毎年、どうしても必要なものが、あるのね。やっぱり」

私「私の生活では、5万円を超える買い物は、生活費ではどうにもならない。今回の給付金がなければ、麻友さんにこの本の説明ができなかった」

結弦「この本、そんなに恐ろしい本だったんだ。だから、お父さん、ガイドブックを作らなきゃって、思い立ったんだな」

若菜「『数学ガールガロア理論』では、どうなっているんですか?」

私「歴史的アプローチを取らない場合、ブリング/ジラードの標準形なんて、ガロア理論に、必要ないんだ」

麻友「はーっ、それが、分かってて、ひとりの人が、一生かかって計算したものを、パソコン上ででも、計算したい。数学バカも、突き抜けてるわね」

結弦「僕たちも、気をつけて先に進もう」

若菜「種明かしが終わったところで、今日は、お開きにしては?」

私「分かった。解散」

 現在2020年7月9日22時01分である。おしまい。