『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック

矢ヶ部巌『数Ⅲ方式ガロアの理論』(現代数学社)のガイドブックを作ることを目指します。ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。

数Ⅲ方式ガロアの理論(その30)

 現在2020年7月10日16時01分である。(この投稿は、ほぼ5797文字)

麻友「どうして、マックへ、勉強道具持って行ったのに、帰って来ちゃったの?」

私「マック、店内で食事させないためか、冷房効かせすぎなんだ」

若菜「上に羽織るもの、3枚も持って行ってなかったですか?」

私「今年、母が買ってくれた、ジャケット、以前から持っているジャケット、それに、セーターも、持っていったのに、寒くて逃げ出さずにはいられなかった」

結弦「それは、酷いなあ。お客さんいなかったでしょう」

私「うん。4,5人しかいなかった」

麻友「家に帰ってくると、勉強するものも、変わるのね。3日連続で、ガロアに、取り組む?」

私「その前に、帰ってきてから調べた成果がある」

結弦「えっ、何?」

私「3年前に調べたときは、なかったけど、ブリング/ジラードの標準形、計算したのを、公開している人がいる。以下のページだ」

5次方程式の解の公式をガチで求めようneqmath.blogspot.com

若菜「この人、手計算ですかね?」

私「それは、有り得ない。数式処理ソフトを、使ってるはずだ」

結弦「僕たちは、登場してないけど、お父さんが、数Ⅲ方式ガロアの理論の連載を始めたのは、『女の人のところへ来たドラえもん』の2017年9月21日だ。一方、この計算した人の記事は、2018年8月15日。お父さんが言ってることも、一応筋が通っている」

若菜「じゃあ、Mathematica は、いらない?」

私「そんなことは、ない。このねくノートというブログを書いている、きいねくさんが、計算間違いしてないかどうか、確かめる必要がある。それに、Mathematica は、色んな場面で、使えるありがたいソフトなんだ」

麻友「太郎さんは、どこまでなら、手計算でやるの?」

私「よっぽどのことがない限り、手計算で、計算するよ。でも、計算して、項が50個を超えたりしたら、計算間違いする可能性の方が、コンピューターが間違う可能性を、上回るから、コンピューターを信じて、計算を任せる」

若菜「その50項の計算をできる計算力は、お父さんのお父様の、『たのしい算数』のお陰ですか?」

私「そうだね。『たのしい算数』は、『数学は、計算力がすべてだから、計算力を付けさせる』という父から、生まれたものだからね。そして、公文」

麻友「その、公文なんだけどね、ある情報によると、太郎さんが、最後までやってないということなんだけど、弁明できる?」

私「ああ、京都から、中退して帰ってきたとき、最後のTの教材が、ビニールに入って、手付かずのままだったのを、父がもらい受けた話だろう」

麻友「やっぱり、最後まで、やってないの?」

私「それは、こういうことだったんだ。広島に行くとき、公文の馬場先生から、確か、Jから後ずっと、Tまでの、教材と解答をもらった。だが、数学の研究(要するに5次方程式とか、集合論とか、微積分)に、取り組んでいた私は、毎日公文と取り組むなんてことは、しなかった。そして、教材を見ていって、新しい記号が出て来るところを中心に、取り組んだ。それでも、偏微分の記号 {\partial} の交換とか、重積分とか、常微分方程式の一般解とか、色々学んだよ」

結弦「えっ、それ、大学レヴェルじゃない?」

私「そうだよ。公文では、大学レヴェルのこと教えるんだ」

若菜「大学入試で、必要ないでしょ」

私「ところが、どっこい。京都大学東京大学は、大学で教える内容から、問題を出してくる」

麻友「そんなの、卑怯じゃない?」

私「センター試験レヴェルの数学の問題で、理学部に入る学生を、選別できるわけないだろう」

若菜「じゃあ、どんな問題が出て来るんですか?」

私「私が、受けたときは、行列式とか、テイラー展開とか、平気で出てきた」

麻友「そういう入試には、どうやったら対策立てられるの?」

私「数学以外は、Z会(ぜっとかい)の添削だね。それから、数学は、『大学への数学』という雑誌の添削を、受ける。もう、7月になってるけど、もしこれを読んでいるのが、受験生なら、明日にでも本屋に行って、『大学への数学(7月号)』を買ってきて、挑戦しよう。最初は、歯が立たないだろうが、段々解けるようになる。私が、浪人生のとき、なかなか100点取れなかったが、あの川口周君は、いつも100点だった。現役なのに、、、と思っていたら、図書館にあったバックナンバーで、川口周君は、高校2年のときから、添削を受けていて、その頃は、100点ではなかったことが、分かった。少し安心した。このときから、大学に入ったら、川口周君に会いたいと思ったのだった」

雑誌『大学への数学(7月号)』(東京出版)


麻友「ああ、そういうことだったのね。川口周さん、ちゃんと、数学者になった」

私「比較的最近、この本も出版していることが分かった」

森脇淳(もりわき あつし)/川口周(かわぐち しゅう)/生駒英晃(いこま ひであき)『モーデル-ファルティングスの定理』(サイエンス社


若菜「お父さんの本は、ないですね」

結弦「この『『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック』が、完成したら、電子書籍にでもなるんでしょう」

麻友「それで、公文はJから始めて、どこまでやったの?」

私「大学の力学の範囲だけど、慣性モーメントとか、座標変換とか、やって、RとSに、マクスウェルの電磁気学が、あるんだ。そこまでは、やった。解答と見比べながら。そこまでやって、高校3年で、最後のTを、開こうとしたら、最初が、イプシロン・デルタだったんだよね。イプシロン・デルタは、高校2年で、

田島一郎『イプシロン-デルタ』(共立ワンポイント双書)


を、読んであり、ここから先は、完全に大学生向けだな、と思って、暇なときやろうと思って、結局暇なんてなくて、中退するまで、開かずじまいだった。というわけだよ」

麻友「ああ、だから、太郎さんが、大学の数学への準備ができてなかった、なんていうことは、まったくなかったわけね」

私「うん。それに、公文では、集合論連続体仮説なんて、出てこないだろうし、、、と思って、今公文のホームページ見たら、『R~Vというのを、大学教養課程相当の研究コースとして作りました』と、書いてある。需要があるんだねえ」


麻友「これで、噂の真相は、分かったけど、太郎さんは、あまり公文やらなかったというのは、半分は本当ね」

私「実は、妹が、若菜と結弦、つまり姪と甥に、いい加減なことを、吹き込んでいて、困ったこともあった」

麻友「どういうふうに?」

私「若菜が、数学の問題を、解いてて、『これ、分からない』、と、持って来たんだ。私は、その問題の条件が、解けるように揃っていないのに気付いた。だから、『角Aって、どこ?』と、若菜に聞いた。若菜は、『ここ』と、言ったが、そことは、限らなかった。私は、『これ、問題自体が、間違っているんだよ。それを、指摘させたいんだ』と言ったら、若菜が、『これで、大学院?』と、妹に聞いたのだ。後で分かったが、妹の家では、『たろちゃん、というのは、大学院の数学科に行ってたんだ』みたいに、吹き込まれていたらしい。ただまあ、普通の人の分かる数学レヴェルでは、数学科の学部卒でも、博士課程出てても、ほとんど違いは、分からないだろうな」

麻友「今は、若菜も結弦も、分かってるのね」

私「このブログ、読んでるくらい、だからね」

若菜「じゃあ、ガロア、始めましょう」


麻友「テキスト18ページ、下から8行目からだけど、下から10行目から、始めるわよ」



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広田 感心,感心.入学試験に出したら,結果はサンザンだった──という話を聞いた事がある.さすが,現役だけの事はある.

 ところで,この解き方で使ったアイデアは何だ.

佐々木 方程式の両辺に適当な定数を加えて,左辺を完全平方式に変形して

  完全平方式 = 定数

という形の方程式を作る事だよ.

小川 一番簡単な2次方程式

  {X^2=}定数

に帰着させる事ですね.

広田 このアイデアを3次方程式に応用してみよう.



  完全立方式への変形


小川 {a,b,c,d} が実数のとき,3次方程式

{ax^3+bx^2+cx+d=0~~(a \neq 0)}

{(x}の整式{)^3=}定数

という方程式に変形するのですね.

広田 そうだ.計算を見通しよくするために,{x^3} の係数を簡単にしておくのがよい.両辺を {a} で割った

{\displaystyle x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a}=0}

という方程式を変形しよう.

 これでも,初めの計画に狂いはない.

小川 初めの方程式と同値だからですね.


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結弦「ちょっと、待って。『方程式が同値』って、どういうこと?」

麻友「イヤミねー。一番突いて欲しくなかったところを、突いてきたわね。太郎さんのNKのノートに、同値という記号 {\Longleftrightarrow} も、見つけたけど、『方程式が同値』というのが、どういうことなのか、分からないのよ。どうすればいいの?」

若菜「真か、偽かが、同じになるって、ことですよね。両方の方程式で」

麻友「真か偽か? じゃあ、答えが同じってこと?」

私「さすが特待生。燕返しだな。そういうことだよ。ここでは、両方の方程式の根が同じという意味だよ」

結弦「 {a} で割っても、答えが求まって、因数分解できてみれば、

{a(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)=0}

の答え、{\alpha,\beta,\gamma} は、

{(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)=0}

の答えと、同じだもんな」

麻友「でも、今は、答えが求まらないかも、という話をしてるのよ」

私「それは、今の麻友さんには、無理だな。どんな場合でも、代数方程式は、解が存在し、因数分解できるというのは、数学の王様、ガウスが、1799年に、学位論文で証明した、代数学の基本定理だ。この証明をしてあったので、後にアーベルが、1824年に、5次方程式が解けないという、パンフレットを送ったのに、ガウスは、『よくもこんなものが書けたものだ,恐ろしいことだ』と、相手にしなかった。アーベルが、ヨーロッパ中周りながら、ゲッチンゲンのガウスにとうとう会わなかったのは、これが原因とも言われている」

麻友「えっ、5次方程式って、結局解けるの? 解けないの?」

私「どういう方法を使ったら、解けるのか? という方法によるんだよ。19世紀初頭の数学者は、5次方程式も、足し算引き算掛け算割り算累乗根で、解けると思っていた。それを、もっと別な方法を使わなければ、解けないと、アーベルは、指摘したんだ。だが、どっちにせよ、答えがあること自体は、ガウスの言っているように、正しい。だから、因数分解できる」

麻友「その、代数学の基本定理って、難しいの?」

私「理学部の1回生レヴェルだよ。杉浦さんの『解析入門Ⅰ』の188ページから190ページに証明がある。ところで、私に取っては、因縁の定理でもある。数学築き直しの大芝猛さんの『数学基礎概説』は、まったくの無から、代数学の基本定理を証明するのが、目標だったんだ」


大芝猛『数学基礎概説』(共立出版


麻友「答えがあって、因数分解できるなら、結弦の言ってることも、分かるわね」

私「こういう風に、自分の数学をやっていると、至近距離にも、大冒険への入り口がある。もっと、楽しんで」

麻友「太郎さん、この本のこの部分を復習したのは、何年? ノート見せて」

麻友「あれっ、2冊あるのね」

私「京都から中退してきて、まだ精神分裂病という病名を聞く前から、ガロアの復習に、手を付けている。ほとんど計算だけ書いてあるノートが1冊。その後、やっぱり全文写ししなきゃ、分からないと、1999年1月30日に始めたノートが、今でも続いている。今日のところは、1999年12月25日に、進めたところだ」

若菜「今でも、全文写ししなきゃ、分からないんですか?」

私「全文写しした方が、頭が働くんだ。こういう難しい本の場合」

結弦「今のお父さんにも、難しいの?」

私「何カ所か、4人で、潰そうと思っている、敵陣がある」

麻友「また、すぐ戦争。でも、大統領とかって、戦争しているときの方が、支持を集めるのよね。許せないけど」

若菜「日本ほど、徹底的に、平和教育をする国って、珍しいそうですね」

私「それを、2042年から来た、AIのお前が言って、どうする」

若菜「2020年の日本に、合わせちゃいました」

結弦「未来は、変わったんだよ。本当に。でも、2020年の人たちに、結果だけ教えても、信じないでしょ」

麻友「未来は、見てきたから、知ってる。でも、あれを、私達で、築かなきゃならないのよ。とりあえず、今日は、ここまでに、しましょ」

私「じゃあ、解散」

 現在2020年7月10日21時15分である。おしまい。