『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック

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数Ⅲ方式ガロアの理論(その58)

 現在2022年1月24日19時17分である。(この投稿は、ほぼ2523文字)

麻友「昨日、変分原理の威力は、見せてもらったけど、自然な運動以外のときに、作用が大きくなるというのを、計算してみせてくれるはずじゃ、なかった?」

私「これは、いい加減に最後で纏めるのは、大変だったので、今日へ伸ばした。計算は、してあったんだけどね」

結弦「計算ばっかりで、イメージがつかめないから、ノートをスキャンしてよ」

私「流石に、これは、図で説明しなければ、分からないだろうからと、スキャンしてあった」

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若菜「重力が、ない場合ですか?」

私「そう。その場合、{1}秒間、真っ直ぐ右へ向かうというのが、慣性の法則だよね」

麻友「これにも、そう書いてあった。摩擦や、空気抵抗がなければ、同じ速さで、同じ方向に進むと」

AKB48中学理科

結弦「そのとき、作用は、昨日の計算で、

{\displaystyle S=\frac{1}{2}m \biggl( 1+\frac{2}{3}g^2 \biggr)=\frac{1}{2}m}

で、{g=0} のときの、{\displaystyle S=\frac{1}{2}m} だ」

若菜「お父さんは、そうでない場合で、あらかじめ、Bader 先生が言ったように、はじめのところと、終わりの地点を同じにして、かかった時間も同じになるようにするために、最初 {0.5} 秒間、{45}度、下向きに、{x} 方向の速さ、{1}{y} 方向の速さも、{1} として、計算した」

結弦「ノートの計算を辿ると、

{\left \{
\begin{array}{l}
\displaystyle

x=x(t)=t \\
y=y(t)=-t~(0 \leqq t \leqq 0.5)

\end{array}
\right.}

として、

{\displaystyle v_x=\frac{dx}{dt}=\frac{dt}{dt}=1}

{\displaystyle v_y=\frac{dy}{dt}=\frac{d}{dt}(-t)=-1}

だから、ラグランジアンは、前半、

{\displaystyle L=\frac{1}{2}m(v_x^2+v_y^2)=\frac{1}{2}m(1^2+(-1)^2)=\frac{1}{2}m(1+1)=m}

だ」

若菜「そして後半、

{\left \{
\begin{array}{l}
\displaystyle

x=x(t)=t \\
y=y(t)=t-1~(0.5 \leqq t \leqq 1)

\end{array}
\right.}

だけど、{y} 方向の高さが、{t-1} となるのは、{0.5}秒後から、{45} 度、右上に、{0.5} 秒上がったとき、元の高さに戻るように、太郎さんが、方程式を解いたのよね」

私「方程式というほどでもないが」

若菜「ラグランジアンは、{\displaystyle v_y=-1} だったのが、{\displaystyle v_y=1} に、なるだけで、他は、同じ。そして、{\displaystyle v_y^2} としか、現れないから、符号が逆でも、ラグランジアンには、影響しない。結局、

{\displaystyle L=\frac{1}{2}m(v_x^2+v_y^2)=\frac{1}{2}m(1^2+1^2)=\frac{1}{2}m(1+1)=m}

と、そのまま」

麻友「じゃあ、作用を計算。

{\displaystyle S=\int_0^1 L dt =\int_0^{0.5}m dt +\int_{0.5}^{1}m dt=\int_0^1 m dt=m \int_0^1 dt =m}

{S=m} になった」

若菜「自然の場合だと、等速直線運動で、{\displaystyle \frac{1}{2}m} でしたから、確かに、他の道を辿ると、大きくなってます」

結弦「慣性の法則を、示しているってことか?」

私「これだけでは、証拠不十分だが、こういうことが、変分原理なんだよ。本当は、ファインマンに従って、変分学というものを、説明するつもりだったが、微分積分すらおぼつかない人の前で、それをやるのは、無理だと判断した。でも、大江さんのカッコに入れるというのと、ファインマンの原子仮説と、ランダウの変分原理があれば、ほとんど無敵というのが、ちょっと分かってもらえたんではないかと思う」

若菜「少し分かった気はします。でも、数学には、あまり役立たないのでは、ないですか?」

私「数学は、自然現象を解明するのだけが、目的ではないからね。数学の場合、論理学、集合論、(そして圏論?)が、基本的な武器になるのだろう。だが、その武器を揃えただけで、全部分かるわけではない。人類が、3000年近くかけて、開発してきたものの、集大成だからね」

結弦「ガロアのブログで、変分原理を説明してもらって、一応一段落した。このブログを凍結して、『『細胞の分子生物学(第6版)』を読もう』のブログを進めてよ。新型コロナウイルス、なんとかしてよ」

私「分子生物学でも、最近は、数学や物理学を、使うんだ。甘く見るなよ」

麻友「じゃあ、これで、今日は、終わりにしましょう。お休みなさい」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

私「おやすみ」

 現在2022年1月24日22時35分である。おしまい。