『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック

矢ヶ部巌『数Ⅲ方式ガロアの理論』(現代数学社)のガイドブックを作ることを目指します。ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。

数Ⅲ方式ガロアの理論(その61)

 現在2022年12月11日14時46分である。(この投稿は、ほぼ3024文字)

麻友「本文に、入るのね。テキスト自体は、どんなだったのかしら?」

私「スキャンしてきた」

麻友「色々、書き込んでるのね。本自体も、かなり傷んでいたけど」

私「表紙が取れただけでなく、もう綴じてあったのが、バラバラ」

若菜「ブルバキ全巻こうしたら、お父さんが、アマチュアの数学者だって、認めます」

結弦「何年かかるんだよ。でも、確かにガロアの本は、凄いな」


私「さて、復習するのだった。これを、読んでみて」


suu3galois.hatenablog.com


私「まず、不親切だったと思ったのは、恐らく麻友さんは、因数定理なんて、完全に忘れていて、証明どころではなかっただろうと言うこと」

麻友「どうして、{f(x)}{x-\alpha } で割ったときの商を {Q(x)} 、余りを {R} とすると、

{f(x)=(x- \alpha ) Q(x)+R}

と、表せるのか、そこから、躓いたわ」

私「小学校のときのことを、思い出してもらっても分かると思うが、割り算というのは、自分より大きい数を、割るんだよね。


{

23\overline{)67}
}

という問題は、あるが、

{

67\overline{)23}
}

という問題は、先生は、出さない」

麻友「{\displaystyle \frac{1}{2}} を、計算するために、{1÷2=0.5} ということは、あるけど」

私「麻友さん、まだ若いな。それを、利用させてもらおう。とにかく、{f(x)}{x−\alpha } で、割るとき、{f(x)} の方が、{x−\alpha } より、次数が大きいんだよ。例えば、{f(x)=x^2+8x+15} として、{\alpha=-5} とすると、{x-\alpha =x-(-5)=x+5} だから、

{
        x+5 \overline{) x^2+8x+15}
}
という問題は、有り得る」

若菜「やってみましょう。

{      x~+~3\\
  x+5 \overline{) x^2~+~8x+15}\\
    ~ \underline{x^2~+~5x}\\
         3x+15\\
         \underline{3x+15}\\
~            0\\
}

割り切れました」

私「おおそうか。だとすると、どうなるんだ?」

結弦「僕、もう中2じゃない。高校1年だから、分かるぞ。{f(-5)=0} となるんだ。それが、因数定理の、言ってることだ」

私「そうだなあ。麻友さん、計算してみて」

麻友「{f(x)=x^2+8x+15} だから、

{f(-5)=(-5)^2+8\times (-5)+15=25-40+15=0}

となって、確かに、ゼロよ」


私「これくらいのペースなら、付いてこられるか?」

麻友「少し、因数定理というのも、思い出してきた。私、一応、高等学校卒業の資格を持っているけど、あまり自信がなかった。太郎さんが、余りにも凄いから、というのもあるのよ。でも、高校時代に太郎さんが苦戦したというこの本を、丁寧に読んでいくうちに、数学って分かるぞと、自信を付けてきた。自分にウソを付いちゃいけないのよね。自分の数学を持つという、太郎さんの口癖の意味も分かって来た。他に、この部分で、気になっているところはあるの?」

私「麻友さん達に、読ませる前提で、読んでみて、


*******************************


   1   2  -5  -6   -1

      -1  -1   6
________________
   1   1  -6   0


から,商は {x^2+x-6=0} で,問題の方程式は

{(x+1)(x-2)(x+3)=0}

因数分解される.


*******************************
                 (数Ⅲ方式ガロアの理論(その27)より)

の部分。『商は {x^2+x-6=0} で』って、商をゼロとするって、ゼロでは、割れないけど、テキストでは? と、振り返ったら、私が作ってしまった、誤植だった。

◯『商は {x^2+x-6} で』

✕『商は {x^2+x-6=0} で』

原書の誤植ではない。申し訳ない」


麻友「数学の文脈で、見つけたの? 大したもんね。他にもあるの?」

私「もう1箇所、誤植じゃないんだけど、


*******************************


麻友「結弦、いい勘してる。あり得るわね。どうなの太郎さん」

私「実は、こんな整数じゃない、分数係数の整式の組立除法をこの本は、要求する。だから、超高校レヴェルの、組立除法をやるんだ。ただ、やり方は、全く同じなので、今マスターしておけば、苦労しない」


*******************************
             (数Ⅲ方式ガロアの理論(その27)より)

という部分、『分数係数の整式』という言葉、正しいんだけど、整式という言葉を、整数を係数とする多項式と、思い込んでいると、アレッ? となる。整式は、分数を係数に持っても良い。複素数を係数に持つ代数方程式も、整式である」

麻友「本当に、拘って、読んでるのねぇ」

私「整式に関しては、辞書でも、Wikipedia でも、解決せず、久し振りに、『代数学辞典 上』に、お出まし願った」

麻友「数学が、恋人。本当ね」

若菜「その『代数学辞典 上』見せてもらえませんか?」

私「これも、表紙が外れかかっているが、大切な1冊」

若菜「あっ、お父さん。机の下に、ブルバキの『数学原論』が、あんなに。堀川『複素代数幾何学入門』、岩澤『代数函数論』、砂川『理論電磁気学』も」

私「すぐ取り出せるところにないと、困るんだ」

麻友「じゃあ、22時50分だから、これでおしまいね。おやすみ」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

私「おやすみ」

 現在2022年12月11日22時53分である。おしまい。