『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック

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数Ⅲ方式ガロアの理論(その39)

 現在2021年11月10日17時44分である。(この投稿は、ほぼ4058文字)

麻友「18時前から始めるなんて、珍しいわね」

私「マックが、改装中で、中に入れないんだよ。仕方なく帰ってきて、今まで、ガロアの過去記事を、チェックしていた」

結弦「お父さんのブログ、見ている人が、確かにいるよ」

若菜「前々回の投稿は、6月18日で、私が、まりんきょさんの、誤植を指摘しましたよね。その後、お父さんは、投稿を7月2日にしましたけど、そのときは、何もありませんでした。ところが、2021年7月28日に、まりんきょさんが、気付いて、将棋の話のところ、訂正して、『指摘されたEROICA氏に感謝する』って、書いてくれたの」

www.ne.jp

私「どうやって、伝わったか、アクセス解析で気付いたのか、分からないけど、インターネットは、もの凄い情報共有の武器になることが、改めて分かったね」


麻友「前回の復習が含まれている、p.25 下から l.6 (25ページ下から6行目)から、始めるわよ」

若菜・結弦「はい」


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広田 今までの所をマトメてみよう.

佐々木 {3} 次方程式

   {y^3+py+q=0}

を解くには,{u,v} についての方程式

   {(u+v)^3+p(u+v)+q=0}

の一組の根を見つけるといい.

 そのような一組の根は,連立方程式

{\left\{ \begin{array}{l}
\displaystyle
u^3+v^3=-q\\
\displaystyle
uv=-\frac{p}{3}
\end{array}
\right.}

から求まる.

 この連立方程式の根の {3}{u^3}{v^3} とは,{2} 次方程式

{\displaystyle t^2+qt-\frac{p^3}{27}=0}

の二根である.


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結弦「付いて行かれない」

私「あと5行、頑張って」


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小川 逆に,この {2} 次方程式の二根となる {u^3}{v^3} との値で

{\displaystyle uv=-\frac{p}{3}}

となる {u}{v} との値の和 {u+v} は、{3} 次方程式

   {y^3+py+q=0}

の根となる──ですね.


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              (『数Ⅲ方式ガロアの理論』25~26ページ)

麻友「どのくらい、分かった~?」

結弦「中学3年生に、ここまで、要求するなんて」

若菜「お父さんは、高校2年生で、分かったのですか?」

私「私は、高校1年生で、


微分積分の初歩

・3次と4次の方程式の解法

数学的帰納法の理解

・球面に描かれた3角形の面積を求める問題(これは、自力では求められず、3カ月後に幾何学辞典で、解法を知った。さらに、高校2年で、数理の翼セミナーへ行ったら、大学1年生の先輩が、球とは限らない曲面で同じ問題を解き、易しい具体例として、球面の場合を計算して見せてくれ、私の知っていた解と一致したので、大学へ行ったら、凄いことを習うのだなあと、ビックリした。いわゆるガウス・ボンネの定理の応用だったのだ)


などの問題を、1問3カ月というような、ゆったりしたペースで、撃破していた。慌てる必要はなかったんだよ。時間はたっぷりあったから。そこで、ゆっくり3次方程式を解いてあったから、矢ヶ部さんの説明も分かった」

麻友「太郎さんは、それを分かってるから、このブログも、のんびり進めているのかしら?」

私「麻友さんと、おしゃべりしたいとき、その話したい内容により、どのブログにするか、選んでいる」


若菜「3次方程式、お父さんなりに、再構成してもらえませんか?」

私「まず、解かなければならないのは、2次の項がなくなった、

{y^3+py+q=0}

という方程式だよね。解は、{y} なわけだけど、フェローか、フォンタナが、{y=u+v} と置いて、ひとつの {y} を、2つに分解した。この置き換えにより、

{(u+v)^3+p(u+v)+q=0}

という方程式を解くことになった。展開してみるというのは人情で、

{u^3+3uv(u+v)+v^3+p(u+v)+q=0}

となり、

{u^3+v^3+3uv(u+v)+p(u+v)+q=0}

となり、

{u^3+v^3+(3uv+p)(u+v)+q=0}

となる。

 ここまでいいか?」

若菜「分かっています」

私「ここで、フェローか、フォンタナが、とんでもないことを、考えたんだな。{u+v} は、求める答え {y} 自身なのだが、これが求まっていなくても、成立する式を、見つけようと思ったのだ」

麻友「あっ、つまりこの式で、{(3uv+p)(u+v)} で、{3uv+p=0} としちゃったら、{0} を掛けるんだから、{u+v} が何でも、{(3uv+p)(u+v)=0} が、成り立つわね」

結弦「これが、成り立っているとき、方程式、

{u^3+3uv(u+v)+v^3+p(u+v)+q=0}

は、{u+v} の付いてる項が {0} になって、

{u^3+v^3+q=0}

となる」

若菜「そうか、{u+v} が、何でも構わないように、{3uv+p=0} としたのと、それが、成り立っているとき、出てくる残りの条件は、{u^3+v^3+q=0} なんだ。だから、{3uv+p=0}{p} を右辺に持って行って、{3uv=-p} となるけど、ああ、これを、{3} 乗しちゃうんだ。{27 u^3 v^3=-p^3}

麻友「ここまで来れば、分かるわね。{\displaystyle u^3 v^3=-\frac{p^3}{27}}{u^3+v^3+q=0} から、{u^3+v^3=-q} があって、連立方程式

{\left\{ \begin{array}{l}
\displaystyle
u^3+v^3=-q\\
\displaystyle
u^3 v^3=-\frac{p}{27}
\end{array}
\right.}

を、解けばいい」

若菜「お母さん、もう分かったのですか? この場合、連立方程式って、何を求めているんでしょう」

私「良い質問だ。中学校でも習うように、連立方程式というのは、両方成り立たせる数値を求めるものだ。この場合、若菜も自分で言っているように、{u+v} が、何でも構わないように、{3uv+p=0} とした。そしてそれが、成り立っているとき、出てくる残りの条件は、{u^3+v^3+q=0} だったな。だから、この2つの条件を満たす {u}{v} は、足せば、解きたかった3次方程式の根になるんだよ」

若菜「お父さん。良く頭が、回りますね。私は、付いて行かれません」

私「実は、3次方程式の解法の、この部分は、私も、完璧には分かってなかったんだ。でも、実際に、3次方程式を、このカルダノの解法で、解いたこともあり、疑う必要を、感じていなかった。今回、麻友さん達に、説明するために、最後の30分くらいまで、説明法を考えた。一番良かったのは、


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若菜「そうか、{u+v} が、何でも構わないように、{3uv+p=0} としたのと、それが、成り立っているとき、出てくる残りの条件は、{u^3+v^3+q=0} なんだ。・・・」


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と、説明できたことだった」

麻友「太郎さんでも、頭を抱えるなんて、この本確かに、難しいわね」

私「難しいことは、確かに、難しい。でも、ガイドブックを、作れば、高校を卒業したくらいの人でも、読めるはずなんだ」

結弦「お父さん、7月から、悩んでたの?」

私「さすがに、それはない。そんなだったら、数学と物理学を、諦めているよ」

若菜「ちょっと、今の部分は、もう少し考えてみます」

麻友「今日の最後の2次方程式と、逆に、の部分が、説明できなかったわね」

私「ゼミでは、時間オーバーで、終了も有り得る。今日は、3人とも良く頑張った」

麻友「じゃあ、おやすみ」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

私「おやすみ」

 現在2021年11月10日22時14分である。おしまい。