『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック

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数Ⅲ方式ガロアの理論(その52)

 現在2022年1月13日20時52分である。(この投稿は、ほぼ4595文字)



麻友「変分原理のゼミが、3回も、放っておかれてたわよ」



私「ごめん。この投稿は、かなり書きにくくて、なおざりになってた」



結弦「前回、問題となったのは、





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そこで先生はこう言った:道すじの各点で運動エネルギーを求め,ポテンシャルエネルギーをとり去って,全軌道にわたってそれを時間について積分すると,君の得る数値は実際の運動のより大きい



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                (訳本第Ⅲ巻275,276ページから引用)



若菜「質問できないほど、圧倒された」



結弦「結論は、何なの?」



私「後で説明する、運動エネルギーというものから、ポテンシャルエネルギーというものを引き算したものを道ごとに積分(足し合わせること)すると、本当に現実に起こる運動の場合が、一番最小で、勝手に想定した道を通る方が、大きくなる。だから、現実に起きる運動が、一番『作用が』最小だというんだ」



結弦「『運動』は、ちょっと分かってきた。カッコ外してみない?」



若菜「代わりに、『作用』を、入れたい」



麻友「じゃあ、『作用』を、大江さんのカッコに入れます」



(『作用』という言葉の意味を知りたい)



(『運動量』という言葉の意味を知りたい)



結弦「上の2つが、しばらく様子を見るもの」

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という、一気に新しい積分というものが、現れて、圧倒されたことだった」

私「そうすると、『積分』も、大江さんのカッコに、入れようか?」

若菜「そうですね。

(『作用』という言葉の意味を知りたい)

(『運動量』という言葉の意味を知りたい)

(『積分』という言葉の意味を知りたい)

と、しましょう」

私「3人は、積分を、詩で始まる数学の本、『微分積分入門』で、ちょっと知っている」

山口恭『微分積分入門』(コロナ社

結弦「円周を積分すると、円の面積。つまり、{2 \pi r} を、積分すると、{\pi r^2} だったな」

私「これを、機械的に、

{\displaystyle \int r dr =\frac{1}{2} r^2 +C}

というように、計算できるように、訓練するんだ」

若菜「{C} というのは?」


 現在2022年1月13日21時38分である。中断。


 翌朝、3時27分に起きて、始める。


私「{\displaystyle \frac{1}{2} r^2 +C} を、微分すると、{\displaystyle \frac{1}{2} r^2} の方は、肩の数字 {2} が降りてきて、{\displaystyle \frac{1}{2} \times 2r = r}となる。一方、定数 {C} の方は、{\displaystyle r^0=r^{1-1}=r^1r^{-1}=r^1 \times \frac{1}{r}=\frac{r}{r}=1} だから、{C \times r^{0}} ということで、肩の数字 {0} が降りてきて、{C \times 0 \times r=0} となる。微分して、{r} となるものは、定数 {C} だけの不定性が、あるということなんだ」

結弦「つまり、積分とは、微分してそうなる関数だから、{\displaystyle \int r dr =\frac{1}{2} r^2} ならば、{\displaystyle \int r dr =\frac{1}{2} r^2 +5} とかも、正しいということ?」

私「そういうことなんだ」

若菜「だから、{\displaystyle \int r dr =\frac{1}{2} r^2 +C} と書くのですね」

私「そう。この場合の定数 {C} は、特に大文字で書き、『積分定数』と呼ぶ」

麻友「でも、今の場合、『全軌道にわたってそれを時間について積分すると』、とか言ってる」

私「さっきの場合、積分する変数は、半径 {r} だった。今度は、時間 {t} となる。今、時刻 {0} から 時間 {t} だけ経ったとき、非常に平凡に、距離 {t} だけ進んでいたとしよう。そうすると、各時刻のスピードは、もちろん分かるように、{1} だよね?」

結弦「えっ、どうして分かるの?」

若菜「だって、単位は省略されてるけど、例えば、{3} 秒経ったとき、{3} メートル進んでいるみたいなんだから、{\displaystyle 速さ=\frac{進んだ距離}{かかった時間}=\frac{3 \mathrm{m}}{3 \mathrm{s}}=1 \mathrm{m/s}} でしょう。数学では、物理学と違って、余り単位のことを、とやかく言わないから、スピードは、{1} ですね」

結弦「ああ、そういうことか」

私「今は、進んだ距離から、速さを求めた。これを、丁寧に見ると、{\displaystyle 速さ=\frac{進んだ距離}{かかった時間}=\frac{3 \mathrm{m}}{3 \mathrm{s}}=1 \mathrm{m/s}} なんだけど、何も、時刻 {0} からの進んだ距離に、拘らなくてもいい。{3.1} 秒後には、{3.1} メートル進んでいるのだから」

若菜「あっ、そうか。{\displaystyle 速さ=\frac{短い時間に進んだ距離}{短い時間}=\frac{3.1 \mathrm{m}-3 \mathrm{m}}{3.1 \mathrm{s}-3 \mathrm{s}}=\frac{0.1 \mathrm{m}}{0.1 \mathrm{s}}=1 \mathrm{m/s}} とできるんだ」

結弦「『微分積分入門』の本で、やったように、{\displaystyle 速さ=\frac{短い時間に進んだ距離}{短い時間}=\lim_{\Delta t \to 0} \frac{(3+\Delta t)-3}{(3+\Delta t)-3}=\lim_{\Delta t \to 0} \frac{\Delta t}{\Delta t}=1} となる。短い時間というのを、極限まで、短くするんだ」

麻友「{\displaystyle \lim_{\Delta t \to 0} \frac{\Delta t}{\Delta t}=1} というのは、{\displaystyle \frac{dt}{dt}=1} ということね」

私「思い出してきたようだな。あの『微分積分入門』の本の出だしは、微分積分のエッセンスが、詰め込まれていて、良かったのではないかと思う。普通高校では、まず数列の極限というものを、教えて、その延長で、微分を教え、積分に入る。数列というのは、数学で非常に重要なものだが、微分の方が、もっと分かり易いと、私は思う。微分積分、数列、の順に教えた方が、生徒にとって、楽なのではないかと、私は、思っている」

結弦「それで、ファインマンの言っていることは、どう解釈すれば、いいの?」

私「実は、3人は、運動エネルギーとか、ポテンシャルエネルギーというものを、もう知っている」

若菜「どんなのでしたっけ?」

私「『力学』のブログのコラムの第4回と最6回で、出てきている。最終的に蛹沢不動滝(さなぎさわふどうたき)の話になったときだ」


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私「さっきの、

{\displaystyle 0=mgh+\frac{1}{2}mv^2}

という式自体が、力学的エネルギー保存の式であって、

{\displaystyle T=\frac{1}{2}mv^2}

が、運動エネルギー、

{U=mgh}

が、位置エネルギー、またの名を、ポテンシャル・エネルギーという」

麻友「これが、ポテンシャル」

私「そして、これらにより、

{T+U=H}

とした、2つのエネルギーの合計、力学的エネルギーが一定だというのが、色々な問題を解くとき、武器となるんだ」


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    (『力学』のブログの『コラム~第6回 運動エネルギー~』より)

 現在2022年1月14日6時57分である。中断。


 現在2022年1月15日20時22分である。再開。

麻友「そう言えば、コラムの第9回の最終回で、この運動エネルギーとポテンシャルエネルギーを使って、滝から落ちた水が、何度温かくなるか、計算したのだったわね。太郎さんにとって、このブログは、全部、頭の抽き出しになっているのね」

私「記号が、増えるが、

{\displaystyle T=\frac{1}{2}mv^2}

が、運動エネルギー、

{U=mgh}

が、位置エネルギー、またの名を、ポテンシャルエネルギーというのだけど、ここでの速度 {v} と、高さ {h} は、時間の関数 {x=x(t)} を用いて、次のように、書き換える」

{\displaystyle T=\frac{1}{2}m\biggl( \frac{dx(t)}{dt} \biggr)^2}

{U=mg x(t)}

若菜「速さ {v} は、

{\displaystyle v=\frac{dx(t)}{dt}}

ですか?」

私「そうなんだが、今日は、かなりブログ以外の数学を、頑張ったので、もう眠い。ここで、打ち切って、投稿させて欲しい」

麻友「投稿していない日も、投稿、書いてくれてたのね」

結弦「お母さんのことを、考えない日はない」

若菜「新しい、計画も、あるのでしょう?」

私「それについて、明日きちんと話すことにする」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2022年1月15日21時56分である。おしまい。