『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック

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数Ⅲ方式ガロアの理論(その55)

 現在2022年1月20日20時30分である。(この投稿は、ほぼ3314文字)

麻友「太郎さん。今観ていたの、映画『誰が為に鐘は鳴る』じゃない?」

私「そうだよ。後半ね」

若菜「『誰が為に鐘は鳴る』を観始めたんだ、と言ってたの、去年の12月8日じゃ、なかったでしたっけ?」

私「結構長い映画だったんだ。NHKで、コマーシャルもないのに、2時間40分きっちりあった」

結弦「2回に分けて、観たと言うこと?」

私「そう」

若菜「それにしても、もう1月以上経っているじゃないですか」

私「周りの人から見て、私って、いくらでも暇な時間があるように、見えるかも知れないけど、実は、やりたいことが多くて、テレヴィ観る時間も、ほとんどないほどなんだ。だから、曲や歌なら、バックにかけておけるから良いけど、映画とか、ドラマとか、オペラとか、お芝居みたいに、見ていなければならないものは、なかなか時間を作れないんだ」

麻友「太郎さんとの共通点を探る上では、歌の方が、良いのかしら?」

私「麻友さんが、出ていると言うことなら、映画だって、お芝居だって、観るんだよ。そこは、勘違いしないでね」


麻友「さて、昨日の『研究ノート2』での計算を、見せてもらいましょ」

私「ノートを、そのままなぞろう。


 『研究ノート2』62ページ

 2022.1.19 15:00:55「

 横軸を {x} 軸、縦軸を、上を正にして {y} 軸 とする。

{x=x(t),y=y(t)} として、

運動エネルギー{\displaystyle T=\frac{1}{2}mv^2}

ポテンシャルエネルギー{U=mgh}

ここで、{v} は速さ、{m} は、物体の質量つまり重さ、{h} は、特定の点からの高さであり、{g} は、重力加速度と言い、{g=9.8 \mathrm{m/s^2}} という大きさを持つ」

麻友「『力学』のブログの蛹沢不動滝のときは、この {T} と、{U} の和の、{T+U} が、一定だという性質を使ったのよね」

私「そうだ。ところが、今回は、差を使うことになる。その前に、まず、

{\displaystyle \frac{短い時間に進んだ距離}{短い時間}=その瞬間の速さ}

を使って、{\displaystyle v=\frac{dx(t)}{dt}} としたいのだが、これは、若菜に指摘された式なのだが、{x} 軸と、{y} 軸を考えなければならないので、次のように、速さも、{x} 方向と、{y} 方向を考えなければならない。

{\displaystyle v_x=\frac{dx(t)}{dt},v_y=\frac{dy(t)}{dt}}

と、なる。そして、{v} 自体は、三平方の定理で、

{v^2=v_x^2+v_y^2}

と、求まることになる」

若菜「この式変形に、5日も、悩んだのですか?」

私「{x} 軸の他に、{y} 軸というものが、必要だと言うことに気付くまでに、4日近くかかったんだ」

若菜「でも、通り越してしまうと、あっという間」

私「数学の発見なんて、ほとんどそういうものだよ」

麻友「そうやって、{v^2=v_x^2+v_y^2} と、表されるとすると、

運動エネルギー{\displaystyle T=\frac{1}{2}mv^2=\frac{1}{2}m(v_x^2+v_y^2)}

と、なるわね」

私「さて、高さの基準になる点を、原点として、そこで、高さ {h=0} とする。そうすると、{U=mgy(t)} となり、ラグランジアンと呼ばれる、{L=T-U} は、

{\displaystyle L=T-U=\frac{1}{2}m(v_x^2+v_y^2)-mgy(t)}

となる」

私「ところで、若菜。落下する場合、放物線は、ただの {y=x^2} でなく、下向きのはずだよな」

若菜「ああ、{y=-x^2} ということですか? 係数は、{1} でなくても良いように思いますが」

私「この場合、{\displaystyle y=-\frac{1}{2}gx^2} が、答えのはずなんだ。丁寧に書くと、

{\displaystyle y(t)=-\frac{1}{2}gx(t)^2}

ということだ」

結弦「確かめようは、ないの?」

私「ある。これの {y} 方向の速さは、時間の関数だが、進んだ距離を微分して、確かにその速さになっているか、確かめることができる」

結弦「{y} 方向の進んだ距離、つまり、{y=y(t)} は、

{\displaystyle y(t)=-\frac{1}{2}gx(t)^2}

だから、時間で微分すると、{x(t)} で、微分するって、{x=x(t)} で、

{\displaystyle y(t)=-\frac{1}{2}gx^2}

として、{x^2} を、{x}微分して、{2x} と、しちゃっていいの?」

私「そこは、躓き易いな。こうやるんだ。

 まず、

{\displaystyle y(t)=-\frac{1}{2}gx(t)^2}

を、{x(t)}を、ひとかたまりと見て、{x(t)} 自体を、独立変数みたいに思って、結弦が言ったように、

{\displaystyle y(t)=-\frac{1}{2}gx^2}

として、{x^2} を、{x}微分して、{2x} と、するんだ。だから、

{\displaystyle \frac{dy(t)}{dx}=-\frac{1}{2}g \cdot 2x=-gx}

となる。次に、今度は、{x(t)}を、{t} の関数として、微分するんだ。今まで、放物線と言ってきたが、横方向に力は働いていないので、横方向の速さは一定。特にどんな速さでも良いので、速さ{1} としよう。そうすると、{x} 軸方向に進んだ距離は、{x=x(t)=t} となる。3秒後なら、3メートル進んでいるみたいなわけだからね」

結弦「そうすると、{\displaystyle \frac{dx(t)}{dt}=\frac{dt}{dt}=1} となる」

私「そこで、

{\displaystyle y(t)=-\frac{1}{2}gx(t)^2}

を、時間 {t} で、微分するのは、

{\displaystyle \frac{dy(t)}{dt}=-\frac{1}{2}g \frac{dx(t)^2}{dx(t)} \frac{dx(t)}{dt}=-gx(t) \times 1 =-gx(t)}

と、いうことになる。関数の関数を微分するときは、いつもこのような方法を使う。合成関数の微分法と呼ばれる」


私「今日は、疲れちゃったので、ここまでで、投稿するよ。最後のところ、ちょっと複雑になりすぎたから、全部理解できてなくても、大丈夫だからね。おやすみ」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

 現在2022年1月20日22時48分である。おしまい。